『引と斥』のつくりて 浅利幸男

大切な方々とのつながりをいつでも心に引き戻せるように、形見を保管する場所を設けたお仏壇『引と斥』。
制作を手掛けるラブアーキテクチャーの浅利幸男さんに『引と斥』に込めた想いを伺いました。

有限会社
ラブアーキテクチャー
一級建築士事務所

浅利幸男

http://www.lovearchitecture.co.jp/

1969年 東京都生まれ
1988年 私立武蔵高校卒業
1994年 武蔵野美術大学造形学部建築学科卒業
1996年 芝浦工業大学大学院建築工学科修士課程修了
1996-2001年 相和技術研究所勤務
2001年 ラブアーキテクチャー一級建築士事務所設立

【受賞歴】
2022年 JIA優秀作品選 「秀明寺 百月院」/グッドデザイン賞「白蓮居」
2020年 JIA優秀作品選 「拳山荘」
2019年 International Architecture Awards 「八聖殿」
2018年 JIA優秀作品選「持宝院礼拝堂・霊園」/Religious Architecture Awards「八聖殿」
2017年 JIA 優秀作品選「中野薫木荘」/グッドデザイン賞「中野薫木荘」「神楽坂薫木荘」/第7回優良事業賞「赤堤の分譲住宅」
2016年 Idea-Tops Award in China Cultural Space Design Award Nominated「龍泉寺八聖殿」/JIA 優秀作品選「八聖殿」
2014年 JIA 優秀建築選「朱合院」
2013年 日本建築学会作品選奨「小金井の家」
2012年 第8回モダンリビング大賞特別賞「善福寺の家」/FRAME | Top 10 Japanese Houses「小金井の家」
2011年 第7回木の建築賞「棲林居」
2010年 相田武文記念賞/第6回モダンリビング大賞準大賞「赤坂の家」/住宅分野への地域材供給シェア拡大総合対策事業「国産材を使った多様な住宅づくりへの提案」
2009年 第6回住まいのリフォームコンクール 優秀賞「赤坂の家」/第26回住まいのリフォームコンクール 住宅リフォーム・紛争処理支援センター理事長賞「善福寺の家」

―はじめに、『引と斥』が生まれるまでの背景とストーリーを教えていただけますか?

今後、仏壇・葬儀業界をリードされるまなか様より、仏壇が衰退しつつある現代に一石を投じるような、聖域としての仏壇のデザインを依頼されました。世の中に存在する商品はどれも、同時代的な人間の欲望を具現化したものに過ぎません。一方、代々受け継がれる仏壇は、同時代的な人間の欲望を反映したのであってはならないはずで、むしろ時代を超越した根源的なものであるはずです。その「超越的な視点」を哲学や文学を参考に見出し、芸術作品やビンテージ家具が持つ「アウラ」や「フェティシズム」を具体的な「かたち」をデザインする上での手掛かりにしました。

―はじめに、『引と斥』が生まれるまでの背景とストーリーを教えていただけますか?

今後、仏壇・葬儀業界をリードされるまなか様より、仏壇が衰退しつつある現代に一石を投じるような、聖域としての仏壇のデザインを依頼されました。世の中に存在する商品はどれも、同時代的な人間の欲望を具現化したものに過ぎません。一方、代々受け継がれる仏壇は、同時代的な人間の欲望を反映したのであってはならないはずで、むしろ時代を超越した根源的なものであるはずです。その「超越的な視点」を哲学や文学を参考に見出し、芸術作品やビンテージ家具が持つ「アウラ」や「フェティシズム」を具体的な「かたち」をデザインする上での手掛かりにしました。

―『引と斥』が出来上がるまでの工程を教えていただけますか?

本体は釘を一本も使わない江戸指物で、装飾は伝統工芸技術を駆使してつくります。

―つづいて、『引と斥』で美しいと感じているところはどこでしょうか?

「祈り」や「偲び」のありかたを「空間×時間」で表現出来ていることです。人類にとって「祈り」や「偲び」という普遍的なテーマを、「空間×時間」という尺度で明快に表現し得たことは、美しいと感じています。

―浅利さんのお仕事の流儀について教えてください。

デザインとは人間や社会が抱える諸問題の解決策の一つだと考えており、仕事を通して少しでも社会を良く出来たらと願っています。ややもすると非科学的で個人的と思われがちな「人がどう感じるのか」という命題に対して、常に科学的に論理的に取り組み、同時に、完全に人間を解き明かすのは不可能であるという謙虚さも持ち合わせたいと考えています。

―最後に、浅利さんにとって「偲び」とは何でしょうか?

自分が何ものかに生かされているちっぽけな存在であると感じさせてくれる行為。

「大田区霊園 百月院」納骨堂 偲月庵

「日野宿みちの墓苑」預骨堂 宿り日堂