『ひかり』のつくりて 堀口徹、ヨコタユウコ

故人を“光”で感じる供養具『ひかり』。
制作を手掛ける株式会社堀口切子の堀口徹さんとみっつ社のヨコタユウコさんに『ひかり』に込めた想いを伺いました。

株式会社堀口切子
三代秀石

堀口 徹

https://www.kiriko.biz/

1976年 東京生まれ
1999年 二代目秀石( 須田富雄、江東区無形文化財 )に江戸切子を師事
2008年 三代秀石を継承、堀口切子を創業
2012年 日本の伝統工芸士( 江戸切子 )に認定

日本の伝統工芸士 ( 江戸切子 )
江戸切子協同組合 理事
日本ガラス工芸学会 理事

賞歴
2005年 江戸切子新作展 入賞 ( 同 2007,2008,2011,2012,2014 )
2009年 江戸切子新作展 最優秀賞 受賞 「Inside beauty」
2010年 江戸切子新作展 2年連続で最優秀賞 受賞 「TOKYO SKY TREE 2010」
2010年 オルビスグループCSR賞 社長賞 受賞
2016年 GOOD DESIGN AWARD 2016 受賞
2021年「FRaU」JAXURY AWARD 2021 受賞

みっつ社

ヨコタ ユウコ

https://www.maru-yoko.com/

パティシエを経て、ガラスの世界へ。
ガラス工房に通いながら技術を習得。2001年より個展を開催。
現在は、ガラス制作、パティシェなど多岐にわたり活動。
NHKのフランス語講座のオープニングに使用。店舗の建築素材に使用され、その建築が美観大賞を受賞。

―はじめに、『ひかり』が生まれるまでの背景とストーリーを教えていただけますか?

堀口徹さん(以下、堀口)
はじまりは、まなかさんよりの「堀口さんならではのお位牌を作ってくださいませんか?」という依頼からでした。仏具を作ったことが無かったので、はじめは、戸惑いましたが、そもそも、江戸切子は自由度が高い伝統工芸で、江戸切子のお位牌があっても全く問題がないこと、そして、まなかさんのホームページなどを見て、現代にライフスタイルに寄り添った提案というものが自分の中でもしっくり来て、制作に取り掛かり始めました。

ヨコタユウコさん(以下、ヨコタ)
「ひかり」のプロデューサーである堀口切子の堀口徹さんからお話しを頂戴しました。以前から故人を弔うものを作ってみたいという思いがあり、お声かけ頂いたときはとても嬉しかったです。
「ひかり」の球体は私の作品がベースになっていて、全て1点ものなので商品としてなりえるのか悩みましたが、まなかさんから「伸び伸びと肩の力を抜いてやってください」と仰って頂き、そこからはいつも通りの制作が出来ました。

―つづいて、『ひかり』に対するこだわりを教えていただけますか?

堀口
ご自宅の中にあって、違和感なく、それでいて、見えた時に故人を素敵な感情で思い出せるような、そんなデザイン、そんな存在になれるように心掛けました。

ヨコタ
形に入れて球体を作るのではなく、掌のカーブを使って球形を作っています。手の中におさめて頂くとわかりますがガラスなのに、手がぬくもりを感じます。そのぬくもりを大切にしています。

―では、『ひかり』についてお二人さんが一番気に入っているところはどこでしょうか?

堀口
やはり、ヨコタユウコさんの作品とのコラボです。以前より親交のあったヨコタユウコさん、彼女が作品に込める想い、そういったものが「ひかり」には不可欠であり、その存在が、自分の作品と交り合って相乗効果を生んでくれていると思っています。「ひかり」の球は、手に取ることができます。たまにでも、両手で包み、愛でながら、故人を偲び、感じていただけたら嬉しいです。

ヨコタ
ガラスという素材の美しさが余す所なく表現されているところです。

―お二人が『ひかり』で美しいと感じているところはどこでしょうか?

堀口
「ひかり」は「ひかり」自体も美しいと思っていますが、そこに入る光やそれを愛でながら故人を偲ぶ、その姿が美しいと感じています。

ヨコタ
3つ(切子の文様、台座、球体)の佇まいです。

―お二人のお仕事の流儀について教えてください。

堀口
堀口切子は「Emptiness」というプロダクトコンセプトをもっています。それは、「Emptiness」余白・空白を大切にすることによって、自分たちが作り上げた時は未完成でとどめ、使い手の手元で何らかの要素が加わることによって、その余白・空白が埋まり、完成を迎える。そういったモノづくりを心掛けています。「ひかり」は、まさに光がさした時や、愛でながら故人を偲んでいるとき、そんな時に完成を迎えます。

ヨコタ
自分がまずそれが好きであること、没入できることです。どんなことでも一度自分の中に溶け込ませることです。
言い方は変ですが、どんなに素敵な仕事を頂いても自分の中の「何か」が動かなければ、そのものに大切なものは宿らないと思っています。
目には見えない「何か」が宿ったからこそ、それに対して共感して頂けるのでがないかと考えています。

―最後に、お二人にとって「偲び」とは何でしょうか?

堀口
故人との想い出や故人の存在を求め、想い、満たすことかなと感じます。

ヨコタ
 悲しみが癒え、日常が戻り、心の中で故人ともに生きていくこと・・かなと思います。
 先に旅立った人が、安心していられるよう、私たちは、故人を大切な思い出にできるように暮らしていくことではないかなと思います。

三代 秀石「虹のたもと」

堀口切子「今昔揃」

ヨコタユウコ 作

ヨコタユウコ 作